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ヤーの小さな大冒険
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空にかがやく、あのきれいなものが何なのか、どうしても気になったんだ。
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すらりとのびた草よりも、高くとんだんだ。
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大好きな花よりも、高くとんだんだ。
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大きな木よりも、高くとんだんだ。
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とおくの山が見えるくらい、高くとんだんだ。
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鳥たちよりも高くとんだんだ。
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「それでどうしたの?」
「疲れたから帰ってきたよ。」
「おかえりなさい。」 -
おしまい
About this story
このお話は、チョウのヤーがちょっとした冒険に出かけるお話です。
ヤーは空に輝く大きな丸いものに興味を惹かれ、それを確かめるために旅に出ます。
それに近づくために高く高く飛んでいきます。
最終的にヤーはそれが何なのか確かめることをあきらめ帰ってきます。
この物語では、最後のカタツムリのパイの言葉が最も重要だと私は考えています。
それは 「おかえりなさい。」という言葉です。
ヤーは自分の興味に従って冒険に出かけました。
ヤーが実際に飛んだ高さは私たちから見れば、おそらく大した高さではないでしょう。
ヤーは楽しそうにパイに行って帰って来ただけの小さな冒険の話をします。
それはヤーにとっては大冒険であり、とても楽しい思い出だったのです。
そしてパイはヤーに「おかえりなさい。」と言いました。
パイはヤーが無事に帰ってきて、楽しい時間を過ごしたことをただ喜んでいるのです。
私は子どもの頃から学校などで「一度始めたことは簡単にやめてはいけない 。」と、教えられてきました。
彼らにとっては、何かに挑戦することよりも、続けること、達成することの方が重要だったのです。もちろん、続けることはとても大切ですし、すごいことだと私も知っています。しかし、私にはやってみたいことがたくさんありました。それらすべてを続けることはできないし、やってみると飽きてしまうものもたくさんありました。あのころ、私はいつも新しいことを始めることを恐れていました。
ヤーの冒険は失敗談ではありません。
成功か失敗かを判断する必要なんて本当はないのです。
ヤーが行って帰ってきた、そしてその出来事はヤーとって楽しいものだった。その事実があるだけなのです。
もちろん、私の行動した結果にも成功や失敗のレッテルを貼る必要はありません。
この物語は、いつだって私にそのことを気づかせてくれます。そして、いつも私に「おかえりなさい。」と行ってくれる人々がいるから、私は新たな冒険に行くことができるのです。
Chie